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ビリー・グラハム牧師の追悼式でのトランプ大統領の弔辞


弔辞翻訳:

ライアン下院議長、マコーネル上院多数党院内総務、スピーチをありがとうございます。そして、何よりもまず、大変光栄にも本日この場にご出席いただきましたグラハム牧師のご家族全員に感謝いたします。ありがとうございます。

 

1934年の春、ビリー・グラハム牧師のお父上はノースカロライナ州シャーロットの実業家たちにお祈りを一日行うための集会場として、自分たち家族の酪農場の一部を提供しました。その日、彼らはシャーロットの町のために祈っていました。彼らはシャーロットから、主()が世界の隅々まで福音(キリスト教の教え)を述べ伝える人物を立ち上げますようにと祈りました。その祈りが真実にかなえられたので、80年以上も経った本日、私たちはここにいます。

 

ビリー・グラハム牧師は当時(1934年の時)15歳でした。わずか数ヶ月後には彼はイエス・キリストをご自身の主、救い主として受け入れました。その選択はビリー氏の人生をただ変えるだけでなく、私たちの人生を変え、私たちの国を変えました。そして実際には全世界をも変えたのです。

 

ノースカロライナ州の農場で育った少年はその農場から抜けだし、素晴らしく美しい歴史に足を踏み入れました。フロリダにある小さな聖書学校から始まり、やがて全国的な伝道集会へと先導していきました。多くの人々が集結したロサンゼルス集会を始めとし、たった一日で10万人の人々が集まったヤンキー・スタジアムでの集会、また1957年のニューヨーク市マディソン・スクエアでの16週間におよぶ集会では200万人を超す人々が参加しました。

 

私もその当時のことを覚えています。なぜなら父がこう言ったからです。「おいでトランプ、さぁママも来てごらんよ、ヤンキー・スタジアムにいるビリー・グラハム牧師を見に行こうよ」と。それは何かとても特別なことでした。でもアメリカの人々はこぞって、その偉大な若い説教師に耳を傾けるためにやって来ていたのです。フレッド・トランプはグラハム牧師の大ファンでした。フレッド・トランプとは私の父のことです。

 

ロンドン、東京、ソウル、ボゴタ、モスクワ、ニューデリー、サイゴン、ヨハネスブルグなど世界各地において、グラハム牧師は2億人を超える人とじかに、またテレビやラジオを通して彼を見たり、彼の言葉を聞きたがっていた数多くの人々と、神の言葉の力を共有しました。1978年には、その後ヨハネ・パウロ2世となるカトリック教会の司教のサポートを受け、グラハム牧師はポーランドに赴き、共産主義の卑劣な抑圧の下で苦しんでいる人々へ十字架の意味を語ったのです。

 

ビリー・グラハム牧師は、世界中に彼のメッセージを届けていました。でも、彼の心はいつもアメリカにいたのです。フランクリン氏もそう私に話すと思います。グラハム牧師のメッセージは、最も貧しい人々へ、抑圧された人々へ、悲しみに暮れた人々へ、刑務所にいる受刑者たちへ、そして見過ごされ、虐げられた人々へ伝えられたのです。彼は虐げられた人々に対して強い情熱を持っていました。

 

グラハム牧師はどこへ赴いても、『神はあなたを愛しています』と、変わらない美しいメッセージを届けました。それが彼のメッセージでした。『神はあなたを愛しています』と。ビリー・グラハム牧師の伝道と祈りに心を打たれた多大な人々の人生を私たちは想像することしかできません。彼が変えた人々の心、彼が和らげた人々の悲しみ、彼がもたらしたたくさんの喜び。その証は永久に続きます。

 

本日、私たちはこのグラハム牧師の素晴らしい人生に感謝いたします。そして、アメリカの人々の思い出が大事にされている、この国会議事堂のロタンダ(円形大広間)で私たちが感謝を捧げることは、大変にふさわしいことです。この部屋にいると、アメリカは祈りに支えられた国であることを私たちに思い出させてくれます。

 

私の左側にあるこの絵は、巡礼者たちがアメリカに向けて旅立つ時に、聖書をしっかり持ち、頭を下げて祈っている光景です。これらの壁にある絵に沿っていくと、彼らがレキシトン・グリーン(マサチューセッツ州にあるアメリカ独立戦争が始まった場所)に立った時の祈り、西を目指した時の祈り、戦いに向かった時の祈り、そして正義を求め行進し、いつも勝利に向かって行進した時の祈り、そういった時々に祈ったアメリカ人の顔が目に入ります。私たちの周りには、ジョージ・ワシントンからリンカーン、アイゼンハワー、そして王に至るまで、偉大で困難な時代に国民を祈りで導いた英雄たちの像が立っています。

 

そして、今日、この大広間の真ん中には、伝説に残るほど有名なビリー・グラハム牧師、世界に祈りの力神の恩寵の賜物を思い起こさせてくださったキリストの大使が横たわれておられます。本日、(この議事堂に安置された)民間人として4人目となるビリー・グラハム牧師に敬意を表します。

 

 

そして、かつてシャーロットの忠実な人々が行ったように、本日私たちは我が国のために、この国中に主がビリー・グラハム牧師のような男女を立ち上げ、すべての尊い神の子供たちに愛と希望のメッセージが伝わっていくことを祈り捧げます。ありがとうございます。神のご加護がありますように。アメリカに神の祝福がありますように。どうもありがとうございました。